乳歯の根尖病巣とは?原因とその後のリスクについて
こんにちは!まつおか歯科医院副院長の松岡夏紀です。乳歯は、いずれ永久歯に生え変わるものですが、「どうせ生え変わるから」と適切なケアを怠ると、将来的に大きな問題を引き起こすことがあります。その中でも注意が必要なのが 乳歯の根尖病巣(こんせんびょうそう) です。今回は、乳歯の根尖病巣ができる原因と、それが引き起こすリスクについて解説します。
乳歯の根尖病巣とは?
根尖病巣とは、歯の根の先(根尖)に膿がたまる状態 のことを指します。虫歯や外傷などが原因で歯の神経が死んでしまい、細菌感染が進行すると、根の先に炎症が起こり、膿がたまることがあります。
乳歯にも根尖病巣が発生することがあり、そのまま放置すると 永久歯の発育や全身の健康に影響を与える可能性がある ため、早めの治療が必要です。
乳歯の根尖病巣ができる原因
① 進行した虫歯
乳歯は永久歯に比べてエナメル質や象牙質が薄く、虫歯が進行しやすい特徴があります。初期の虫歯を放置すると、やがて歯の神経(歯髄)にまで感染が及び、炎症が起こり、根の先に膿がたまることがあります。
② 外傷(歯の打撲・折れ)
転倒やぶつけた衝撃で乳歯がダメージを受けると、内部の神経が死んでしまい、細菌感染が起こることがあります。この場合も、時間が経つと根尖病巣を形成することがあります。
③ 治療の遅れ
乳歯の虫歯は進行が速いため、早期に適切な治療をしないと神経に感染が広がり、根尖病巣を引き起こします。痛みを感じにくい場合でも、気づいたときにはすでに膿がたまっていることもあります。
乳歯の根尖病巣が引き起こすリスク
① 永久歯の発育への影響
乳歯の下には、次に生えてくる 永久歯の芽(歯胚) があります。根尖病巣ができると、この歯胚がダメージを受け、永久歯が変色したり、形が異常になったりすることがあります。また、歯並びが悪くなる原因にもなります。
② 顎の骨や歯ぐきのトラブル
膿が溜まることで 顎の骨が溶ける ことがあります。さらに、炎症が広がると歯ぐきが腫れたり、膿が出たりすることもあり、治療が長引くケースもあります。
③ 全身への影響
歯の根の炎症は、細菌が血液に乗って全身に広がる可能性があります。免疫力の低いお子さんの場合、発熱や体調不良の原因になることもあります。
乳歯の根尖病巣を防ぐためにできること
- 定期的な歯科検診を受ける
乳歯は虫歯の進行が速いため、3~4ヶ月ごとの定期検診を受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。 - 虫歯を予防する
フッ素塗布や正しい歯磨き習慣の確立、食生活の見直しを行い、虫歯になりにくい環境を作ることが大切です。 - 歯をぶつけたらすぐに歯医者へ
目に見える傷がなくても、外傷を受けた歯は後から根尖病巣ができることがあります。事故や転倒で歯をぶつけた場合は、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
まとめ
乳歯の根尖病巣は 進行した虫歯や外傷が原因 で起こり、放置すると 永久歯の発育や全身の健康に影響を及ぼす 可能性があります。虫歯予防を徹底し、定期的な歯科検診を受けることで、早期発見・早期治療につなげましょう。
お子さんの乳歯の健康を守るためにも、少しでも気になる症状があれば、お気軽に歯科医院へご相談ください!
記事監修:歯科医師 まつおか歯科医院副院長 松岡夏紀