こんにちは。副院長の松岡夏紀です。
歯ぎしり・食いしばりによる顎や歯の痛みに関するご相談がこのところ増えています。
無意識のうちにしてしまう歯ぎしり・食いしばり。
頭痛や肩こり、不眠など全身的に影響を及ぼしてしまう可能性もあるこの現象について、今日はその原因や症状、治療法など詳しくお話ししていきたいと思います。
どうして歯ぎしり・食いしばりは起こるの?
人間は理性の生き物です。日中起きている間、私たちの脳はさまざまなストレスを抱えます。
そのストレスを脳がどうにか発散しようと、寝ている間に脳から一番近くて大きい筋肉である側頭筋(お口を閉じる筋肉)にググッと力が入ります。
これに連動して噛む筋肉(咬筋・外則翼突筋・内側翼突筋)に力が入り、無意識のうちに歯ぎしりしたり食いしばったりしてしまうのです。
歯ぎしり・食いしばりはいわば生理現象なので、それ自体を止める治療法はありません。
そこで、歯ぎしり・食いしばりを起こしても歯や顎が負担のかからないようにすることが治療の一番の目的になります。
歯ぎしり・食いしばりを放っておくとどうなる?
歯ぎしり・食いしばりは成人の70%以上が起こしています。つまり、ほとんどの人に起こっているものです。
軽度のものであれば放っておいて大丈夫ですが、問題は強すぎる咬合力で歯ぎしり・食いしばりをしていることです。
寝ている間に歯ぎしり・食いしばりをする人は自分の体重の3倍以上、人によっては1トンの咬合力がかかっているとも言われています。
そんな力が毎晩歯に加わっていては、健康状態が崩壊することも目に見えていますよね。
歯と顎は本来、適正な咬合力で食事をとるためにバランスよく調和しています。
過剰な力がかかりすぎると歯は欠けたりすり減ったり、ひどいときには折れてしまったりすることもあります。
コロナ渦で、歯根破折により抜歯せざるを得なくなった人が急増したというデータもあります。
歯だけでなく、顎の負担も強大です。
顎が痛い、口が開きにくい、噛めない、朝起きた時に顎がだるい、虫歯じゃないのに歯が痛い、しみる、こんな症状のある方は要注意です。
さらに、肩こりや頭痛など、歯ぎしり・食いしばりをし続けることによって他の健康状態にも影響することがあります。
歯ぎしり・食いしばりの治療法は?
①ハードタイプのマウスピースを作り、就寝時に装着する
まずは保険適応のマウスピースを作り、寝ている間に装着します。
マウスピースは歯と顎を守るクッションの役割を果たすので、寝ている間の過剰な咬合力から歯と顎を守ります。
マウスピースにもいろんな種類がありますが、まつおか歯科医院ではかたくて厚いハードタイプを推奨しています。
ホームホワイトニング用に使うやわらかいマウスピースをお使いの方が中にはいらっしゃいますが、ソフトタイプは無意識のうちに噛み心地がブニブニして気になってしまい、余計に噛んでしまう傾向にあります。
ハードタイプに作り替えるだけで、朝起きた時の顎の感覚がかなり楽になったと言う方が多くいらっしゃいます。
②咬筋ボツリヌストキシン治療
咬筋にボツリヌストキシン注射をし、咬む力を弱めます。
過剰な咬合力を出す大きな原因の筋肉である咬筋にボツリヌストキシンを注射すると、一定期間(3か月~半年程度)筋肉が小さくなり、歯ぎしり・食いしばりをしたときの咬合力を弱めることができます。
嬉しい副効果として、小顔効果がありフェイスラインがスッキリします。
強制的に咬筋の力を弱めるので、ほとんどの方に確実な効果が表れます。
マウスピースだけでは物足りない、マウスピースは使い続けられない、といった方にもオススメの治療法です。
まつおか歯科医院のスタッフは全員、この2つの治療法を実施していて、全員がかみ合わせの改善や歯ぎしり・食いしばりによる症状の緩和を実感しています。
治療にかかる費用はどのくらい?
①ハードタイプマウスピース・・・保険適応
②ボツリヌストキシン治療・・・両側咬筋注射¥33,000(1か月後リタッチ希望の場合は半額で受けられます)
忙しい年末年始は特に気を付けましょう
歯ぎしり・食いしばりは疲れがたまったとき、睡眠不足が続いたとき、ストレスがたまったときにさらに強くなる傾向にあります。
これから年末年始に向けて忙しくなるシーズン。
お正月はゆっくり穏やかな気持ちで迎えられるよう、お口の健康もぜひ意識してくださいね。
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