夏紀先生のキレイな歯相談室

【歯科医が解説】マウスピース矯正が失敗する5つの理由と後悔しないための対策

こんにちは!まつおか歯科医院副院長の松岡夏紀です。透明で目立ちにくく、取り外しもできる「マウスピース矯正(アライナー矯正)」は、近年とても人気のある矯正治療です。
しかし、インターネット上では「マウスピース矯正が失敗した」「思ったように歯が動かない」といった声も少なくありません。

この記事では、マウスピース矯正が失敗してしまう主な原因と、後悔しないためのポイントを歯科医の視点から詳しく解説します。


1. 装着時間が足りないことによる失敗

マウスピース矯正で最も多い失敗の理由が、装着時間の不足です。
1日20〜22時間以上の装着が推奨されていますが、装着時間が短いと歯が予定通りに動かず、次のマウスピースが合わなくなることがあります。

食事や歯磨き以外は常に装着することが、治療成功の大きなポイントです。
「つい外してしまう」「長時間つけていなかった」という小さな積み重ねが、矯正の失敗につながることもあります。


2. 治療計画やシミュレーションの精度が低い

マウスピース矯正は、事前のデジタルシミュレーションによって歯の動きを計画します。
診断が不正確だったり、歯の動きを理解していないまま計画を立てると、実際の歯の動きとシミュレーションがずれてしまうことがあります。

その結果、噛み合わせの不具合歯並びの左右差が生じるケースも。
正確な診断と経験豊富な歯科医師による設計が欠かせません。


3. アタッチメントやIPR(歯の隙間調整)の不足

マウスピースだけでは動かせない歯もあり、必要に応じて**アタッチメント(歯に付ける小さな突起)**や、
**IPR(歯と歯の間を少し削る処置)**を行います。

これらの処置が適切に行われないと、歯が計画通りに動かず、最終的な仕上がりにズレが出る可能性があります。
経験と精密な調整が求められる部分です。


4. 定期チェックを怠ることによるズレ

「自宅で進められるから安心」と思われがちなマウスピース矯正ですが、
定期的な歯科医院でのチェックがとても重要です。

歯の動きは人によって異なるため、経過を見ながら微調整を行う必要があります。
通院を怠ると、歯の動きがずれたまま治療が進み、全体をやり直すことになるケースも少なくありません。


5. 適応症を誤っている

マウスピース矯正は万能ではありません。
重度の叢生(ガタガタ)や骨格的なズレを伴う症例では、ワイヤー矯正の方が効果的な場合もあります。

適応症を正しく判断しないままマウスピース矯正を選んでしまうと、
「思ったように並ばない」「後戻りしてしまった」など、失敗や後悔の原因となります。

初診時にしっかりと検査・カウンセリングを行うことが大切です。


【歯科医からのアドバイス】マウスピース矯正を成功させるために

マウスピース矯正を成功させるためには、以下のポイントを意識しましょう。

  • 毎日しっかり装着時間を守る(1日20時間以上)
  • 定期的に歯科医院でチェックを受ける
  • 診断と治療計画を信頼できる歯科医師に任せる
  • マウスピースの扱い方を正しく理解する

当院では、歯科用3Dスキャナーによる精密なシミュレーションと、
矯正経験豊富な歯科医師による診断・サポートを行っています。

マウスピース矯正に興味がある方や、現在の矯正に不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。

記事監修:歯科医師 まつおか歯科医院副院長 松岡夏紀

044-750-7385