こんにちは!まつおか歯科医院副院長の松岡夏紀です。
前回の記事で食いしばり治療におけるマウスピースのお話しをしました。今回はさらにプラスαとしての治療、咬筋ボツリヌストキシン治療についてお話ししていきます。
まずおさらいです。「食いしばり」とは、無意識のうちに強く歯を噛みしめてしまう習慣のことです。日中の集中しているときや、睡眠中に起こることが多く、歯や顎に大きな負担をかけます。
食いしばりが続くと以下のような症状が現れることがあります。
- 歯のすり減りやヒビ
- 顎のだるさ・痛み
- 頭痛や肩こり
- 詰め物や被せ物の破損
このように、食いしばりはお口だけでなく全身に悪影響を及ぼすことがあるため、早めの対策が大切です。
咬筋ボツリヌストキシン治療とは?
咬筋とは、奥歯で強く噛むときに使う筋肉のことです。食いしばりによって咬筋が過度に発達すると、顎の負担や筋肉の緊張が強くなります。
ボツリヌストキシン治療は、この咬筋に少量の薬剤を注射し、筋肉の働きを和らげる治療法です。筋肉の緊張が抑えられることで、歯や顎にかかる負担が減り、食いしばりによる不快な症状を軽減することが期待できます。
治療のメリット
- 歯や顎の負担を軽減できる
歯のすり減りや破折の予防につながります。 - 顎の疲れや痛みを緩和できる
起床時の顎のだるさが改善される方も多いです。 - 頭痛や肩こりの改善が期待できる
咬筋の緊張が和らぐことで、全身の不調が軽減する場合もあります。 - フェイスラインがすっきりすることも
咬筋の張りがやわらぐため、エラの張りが軽減され小顔効果が得られることもあります。
治療の流れ
- カウンセリング・診察
食いしばりの症状やお口の状態を確認します。 - 注射による治療(数分程度)
咬筋に数か所、少量の薬剤を注入します。 - 経過観察
効果は数日~2週間ほどで現れ、3~6か月程度持続します。定期的な治療で安定した効果を維持できます。
注意点・副作用
- 効果は一時的であり、定期的な施術が必要です。
- 一時的に噛む力が弱まることがあります。
- 内出血や腫れが出る場合がありますが、数日で治まります。
まとめ
食いしばりは放置すると歯や顎だけでなく全身に悪影響を及ぼす可能性があります。咬筋ボツリヌストキシン治療は、食いしばりによる症状を和らげる効果的な方法のひとつです。
「朝起きると顎がだるい」「歯ぎしりで歯がすり減っている」と感じる方は、一度歯科医院にご相談ください。
記事監修:歯科医師 まつおか歯科医院副院長 松岡夏紀