若いうちから始めたいお口の健康習慣
こんにちは!まつおか歯科医院副院長の松岡夏紀です。年齢を重ねると、「硬いものが噛みにくい」「飲み込むときにむせる」「滑舌が悪くなる」など、口腔機能の衰えが起きやすくなります。
しかし、この衰えは“加齢だけが原因”ではありません。若いうちからの習慣が、将来のお口の状態を大きく左右します。
この記事では、口腔機能が衰える原因と、いつまでも食事を楽しむための予防ポイントを解説します。
口腔機能の衰えとは?
「噛む」「飲み込む」「話す」に関わる機能が低下した状態を指します。
具体的には次のような症状が見られます。
- 噛む力が弱くなる(咬合力の低下)
- 飲み込みづらい(嚥下機能の低下)
- よだれが出やすい、口が乾く
- 滑舌が悪くなる
- 食事量が減り、低栄養につながる
口腔機能が衰えると、食べる楽しみが減るだけでなく、誤嚥性肺炎や低栄養、筋力低下など、全身の健康にも影響を及ぼします。
なぜ口腔機能は衰えるの?
① 加齢による筋力低下
口の周囲の筋肉(舌・頬・唇・咀嚼筋など)は年齢とともに減少し、動かしづらくなります。
② 歯の喪失
虫歯や歯周病によって歯を失うと、噛み合わせが悪くなり、噛む力全体が低下します。
③ ドライマウス
唾液の分泌量が減ると、飲み込みやすさや味覚にも影響が出ます。
④ 不適切な生活習慣
柔らかいものばかり食べる、口呼吸が多い、よく噛まないなど、日頃の癖も機能低下の大きな原因に。
若いうちから気を付けること
“まだ自分には関係ない”と思いがちですが、口腔機能低下は20代からすでに始まる可能性があります。
将来の「食べる楽しみ」を守るために、今からできる習慣を紹介します。
① よく噛む習慣をつける
噛むことは口の筋トレです。
よく噛む人ほど、将来の咀嚼力が維持されやすいことがわかっています。
意識したいポイント
- 1口30回を目安に噛む
- 片側だけで噛まない
- 食事に噛み応えのある食材(根菜・ナッツ・海藻など)を取り入れる
② 口周りの筋肉トレーニング
舌や頬、唇の筋肉は鍛えるほど機能が維持できます。
おすすめ簡単トレーニング
- あいうべ体操(口を大きく「あ・い・う・べ」と動かす)
- 舌回し運動(舌で歯列をゆっくり一周)
- 唇すぼめ・頬ふくらまし運動
毎日1分でも続けることで、将来の機能低下予防に役立ちます。
③ 正しい姿勢で食べる
姿勢は飲み込みに大きく関わります。
猫背やスマホ姿勢が多い人は、飲み込みが弱くなりやすい傾向があります。
ポイント
- 足裏を地面につけ、背筋を伸ばす
- 顎を引き、食べ物が喉を通りやすい体勢にする
④ 口呼吸をやめて鼻呼吸へ
口呼吸はお口の乾燥を招き、虫歯・歯周病・口腔機能低下につながります。
鼻呼吸は舌の正しい位置を保ち、飲み込み動作にも良い影響を与えます。
⑤ 定期的な歯科検診
歯科医院でのプロケアは、口腔機能を保つための重要な習慣です。
歯科検診でできること
- 虫歯・歯周病の早期発見
- 咬合力・歯の動揺チェック
- 口腔機能評価(舌圧・咀嚼能力など)
- 正しいセルフケアの指導
若いうちから定期検診を習慣化しておくことで、“歯を失わない生活”をつくることができます。
まとめ
口腔機能の衰えは、毎日の生活習慣によって「予防」できるものです。
若いうちから適切なケアを続けることで、将来もおいしい食事を楽しみ、健康的な生活を送ることができます。
当院では、口腔機能のチェックやトレーニング方法のご提案も行っています。
「最近噛みにくくなってきた」「将来のために今から予防したい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
記事監修:歯科医師 まつおか歯科医院副院長 松岡夏紀